2016年2月24日水曜日

学生紹介:片山拓人(修了生)

GEIDAI ANIMATION 07 YELLで作品を上映する学生を、1日2名ずつ紹介していきます!

20人目は「愚図の底」を制作した片山拓人さんです。

Q 自己紹介をお願いします。
片山拓人です。
『愚図の底』という作品を制作しました。


[twitter] @kata_taku

Q 作品を作ったきっかけは何ですか?
僕の出身地である福島県で起きた原発事故がきっかけです。
3.11以降、僕は原発事故から目を背け、思考を停止したまま、漠然と不安を抱えていました。3.11から止まってしまった思考を働かせるための足がかりとして、原発事故に対する不安と改めて向き合うことを修了制作のテーマに選びました。


Q 手法と制作プロセスを教えてください。
手法は、デジタルの作画とアナログの描画を混合させた平面アニメーションです。
作画は全て「TVPaint」というソフトを使ってPC上で行っています。そこから作画した画像データを全て紙に印刷し、一部を鉛筆で彩色して、質感をつけた透明なアクリル板を通して歪ませた状態の原画を1フレームずつカメラで再撮影していきました。最終的な画面の質感と色味の変化はAfter Effectsで調整しています。
デジタル作画によって、アニメートした動きの確認作業を効率化し、できるだけイメージに近い動きを模索する一方、最終的な画面の仕上がりには、紙の質感やノイズ、手作業の撮影によって起こるブレの動きがほしかったので、デジタルとアナログを行き来する一見効率の悪い方法をとっています。

プロセスは、自身の中にあった原発に対する不安をできるだけ正直に、詳細に、言葉にして書き出していく作業から始めました。その言葉から連想して浮かび上がった断片的なシーンをイメージボードとして描きます。描いたイメージボードから作品の構成を考え、アニマティクス(ビデオコンテ)を制作しました。
このアニマティクスは、作画作業と並行しながら、作品を提出する一ヶ月程前まで常に内容を更新し続けました。最終的に25本のアニマティクスを制作することになり、制作過程の中で、この作業が一番苦労しました…。

 

Q 影響を受けた作品などはありますか?
今まで多くの作品に影響されっぱなしなのですが…今回の作品に限って言えば、近藤聡乃さんの『ニューヨークで考え中』というコミックエッセイの中に収録されている第五十二話『ぼんやりした不安』という話が、この作品を制作する上で一つの指針になってくれたと感じています。
また、制作を終えて改めて振り返ると、9.11を題材にして11人の監督がそれぞれ制作した短編作品からなるオムニバス映画『11'09"01 September 11』の中のショーン・ペン監督の作品に、無意識のうちに影響を受けていたと思います。

Q 制作の合間にしていた気分転換は何ですか?
制作の合間というよりも、制作中の気分転換になってしまいますが、昼間は『水曜どうでしょう』の音声を、深夜の時間帯はラジオ番組を聴きながら、ひたすら制作していました。
なんてことない笑える会話が、作品と向き合う中で疲弊していく精神状態を大きく支えてくれました…。(特に『水曜どうでしょう』の副音声ver.が個人的にオススメです!)
あと、お風呂に入ることは、心身ともにリフレッシュできたので、とても重要でした。

Q 在学中にやり残したことはありますか?
これは今後の課題でもあるのですが、自他ともに楽しめる作品制作がしてみたかったです。
あとは学校の前の海でカヌーを漕ぐこと。


Q アニメーション以外で、今後挑戦してみたいことはありますか?
水槽で水草を飼って、自然界の生態系を再現する「ネイチャーアクアリウム(?)」というものを作ってみたいです。そして一日中眺めていたい…。


Q 今あなたが一番“YELL(叫び)”したいことは何ですか?
ごめんなさい!ありがとう!



ありがとうございました!
片山拓人さんの作品「愚図の底」は、「第七期生修了作品 Aプログラム」にて上映いたします。「第七期生修了作品 Aプログラム」は、3月5日から3日間、横浜の馬車道校舎で上映となっています。また、3月12日から一週間、渋谷のユーロスペースでも上映予定です。お楽しみに!

0 件のコメント:

コメントを投稿